IE9ピン留め

2007年 01月 21日

 

事件報告

中野区職員無断欠勤・不正打刻事件(住民訴訟)
     
      区長に上司等への損害賠償請求を命じる
         
         住民側勝訴の判決  — 東京地方裁判所 —

                   弁護士 弓 仲 忠 昭


一 奈良市男性職員が、「病気」理由の休暇や休職を繰り返し、五年間で八日出勤しただけで、給料をほぼ満額貰っていた事件には驚いた。東京の中野区でも、奈良より少額ながらも幹部職員が関与して、税金を貪り喰らった事件が、裁判所で断罪された。
 東京地裁判決(〇六年十一月二日)は、中野区が区職員(総務部参事。故人)に無断欠勤中の給与を支払ったのは違法として、未返還の給与分八十二万円余りの賠償を、関与した幹部職員に請求するよう中野区長に命じた。公務員による税金の無駄遣いが批判にさらされ是正が命じられた意義は大きい。

二 当該参事は〇四年二月から四月にかけ病気で無届欠勤を続けたが、総務部長と総務課長が協議し、二月一六日から四月一日の間、参事の磁気式職員カードを使い、出退勤管理用機械で「出勤扱い」に打刻した。この不正打刻の結果、参事には、通常勤務したものとしての給与全額が支給された。
 四月に至り、人事担当者がこの事態を知り、本人と連絡を取った上、五月六日に、参事に対し、重病で手続きできなかったものとして、三月九日までの休暇承認と三月十日以降の休職処分が為され、超過支払い分の給与が返還された。なお、休職処分は三月十日に遡っての決定が偽装された。

三 原告住民らは、遡っての有給休暇承認や休職処分は違法であり、無断欠勤分の支払給与全額が返還されるべきとして、一部返還された金額との差額分につき、不正打刻を協議・実行した総務部長と総務課長に損害賠償を求め住民監査請求を行なった。
 監査委員は、住民らの請求を是とし、中野区長に対し損害回復措置を勧告したが、中野区長は、休暇承認・休職処分は適正と居直り、監査委員の是正勧告を拒否した。

四 今回の判決は、参事が二ヵ月も休暇申請等ができない状況には無く、遡っての有給休暇承認と休職処分は違法として、総務部長及び総務課長の不法行為責任を認め、中野区長に、総務部長らに対し、八十二万円余りの損害賠償請求することを命じるとともに、中野区長が前記請求を怠ることの違法を確認した。この判決は、中野区財政に不法に開けられた穴を回復したいという住民らの請求を基本的に容認する常識にかなったものである。区長個人の監督責任までは認めなかったが、幹部職員の不正を厳しく断罪した点でほぼ住民の全面勝訴である。
 中野区長は、判決を真摯に受け止めることなく、東京高裁に控訴したので、住民らも、区長個人の責任を求めて控訴した。
 小中学校・児童館の統廃合、警察大学校跡地利用等で住民無視の政策を推進する中野区長による今回の控訴は、一体何を守る為のものなのか?— 中野区長は、昨年末の人事で、前記総務部長を助役に任用した。
 新年には、控訴審での闘いが始まる。ご支援を願う!







by ombudsnakano | 2007-01-21 23:41 | 中野区幹部職員の不正打刻事件